押ささる について

「押ささる」は最も説明しにくい北海道弁だと思っています。
押ささる、書かさる、など「〜さる」はとても便利な使い方です。
どうして標準語に存在しないのか不思議なくらいです。

では、「押ささる」について話していきましょう。
※この文章は、標準語を話す人たちも「壊す」「壊れる」という単語は使うと仮定しています。

例えば、リモコンのボタンを押しても反応しなかったとき、普通は「ボタンが壊れた」と表現します。「ボタンを壊した」とは表現しません。
ここで冷静に考えてみましょう。ボタンは勝手に「壊れる」のでしょうか?確実に押した人が壊しているのです。ですから、正しい表現は「ボタンを壊した」になるはずです。

ところがボタンを押した人はこういう。
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「いや、意図的に壊したのではない」と。

この話を「押ささる」に当てはめてみます。
ボタンを押しても反応しなかった場合、道民は「ボタン押ささんないんだけど。」と言います。
「押さない」わけでもなく「押せない」わけでもなく「押ささらない」のです。
この場合、標準語ではなんと表現するのかはっきりとはわかりませんが、おそらく「押せない」でしょう。

しかしわれわれ道民はこういう。「いや、押し方くらいは知ってるよ。ボタンが悪いんだ。」と。

わかっていただけたでしょうか。
「壊す」「壊れる」
「押す」「押ささる」

ボタンは勝手に「壊れる」し、勝手に「押ささる」のです。


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